タクシードライバーをやってみようかな、と考えている人は割と多いのではないでしょうか。
でも、なんとなく「もやもや」して迷っている方も多いかと思います。
筆者は、53歳のときにタクシードライバーという職業に身を投じました。
当時、働いていた職種に将来性や働き甲斐をなくして、自己都合で退職したためでもありますが。
しかし、ファイヤーできるほどの貯蓄や資産もなく、働かないと生活ができません。
いまさら新しい会社組織に就職して、あらたに人間関係を構築するのも面倒だし、そもそも特別な資格や経歴を持っているわけでもありませんでした。
その前に53歳の年齢では、採用してくれる職種の幅が本当に狭い。
そんな筆者がタクシードライバーになってみて感じたことや、どんなお仕事なのか、収入はどうだったのかを記事にしてみました。
タクシードライバーになるのを迷った理由
タクシードライバーという仕事は筆者的には嫌いな仕事ではありませんでした。
若いころから車が好きで、ドライブすることが大好きだったから、というのもあります。
でも、いざタクシードライバーになる、となると悩んだ理由がありました。
その理由というのは、自分の「プライド」です。
今となっては、どうでもいいような「プライド」なのですが、その時はそれが理由でなかなか踏ん切りがつかなかったのです。
自分が「タクシードライバーやってるよ」と胸をはって、いうことができない。
完全に職業差別意識です。
- タクシードライバーは誰でもできる仕事
- どこにも就職できなくて、最後にたどり着く職業
こんなイメージ持っていませんか?
筆者は持っていました。
地元でタクシードライバーをやれば、知り合いや友達がお客として乗ってくるかもしれません。
ばれたら、タクシードライバーをやっている自分が「恥ずかしい」と思っていたのです。
リストラされたり、資格や経歴がなくてどこにも就職できないような人たちがやるお仕事。
誰でもやれるお仕事、そんな偏見がタクシードライバーになることに躊躇する理由になっていました。
労働時間の長さも、理由の一つでした。
タクシードライバー、やってみると思ったより特別なこともない
53歳の筆者がタクシードライバーになったのは、今から5年前(2019年)。
この5年間でずいぶんとタクシードライバーに対するイメージが変わったと感じています。
- 限定的とはいえ、ライドシェアが始まってメディアでの露出が増えたこと
- 配車アプリのCMで有名な俳優さんの好演でイメージがよくなったこと
などで、タクシードライバーになることに対する、ネガティブなイメージが払拭されつつある感じです。
20代、30代の方や、女性の方の就職希望者が増えてきて、入社人数がここ5年間の中では最高です。
おかげで、筆者の働いている会社の話にはなりますが、ドライバーの平均年齢がかなり下がりました(笑
まぁ、それでもうちの会社の平均年齢はまだ60歳を超えています。
筆者が入社時の面接を受けたときに、面接担当者に「若いねぇ!」と言われて驚いた思い出があります。
50代はまだまだ働き盛りで、しかも若手です ^^;
人は人、自分は自分
タクシードライバーになってみて、筆者が懸念していたようなネガティブなことは、ほぼありませんでした。
知り合いを乗せることも、友人を乗せることもありませんでしたし、タクシードライバーをやっていることに対して、白い目で見られることもありませんでした。
心の中でどう思われているかはわかりませんけど、自分が考えているより人のことは、どうでもいいんだと思います。
逆に最近のドライバーさんは、友人や知り合いに頼られて仕事をもらったりしています。
知り合いがタクシードライバーをやっていると、知らないドライバーよりも融通が利くし、安心ですからね。
世にいうカスハラを受けた経験は何度かありますが、それはサービス業全般にあることなので、タクシードライバーに限ったことではありません。
コンビニや飲食店、小売業関係の方がカスハラを受ける数に関しては多いのではないでしょうか。
ただ、タクシードライバーは密室の車内でカスハラを受けることになるので、そこは慣れないとつらいところではあります。
そのカスハラも、車内を監視するドライブレコーダーを証拠に、提訴することも今では可能ですし、緊急発砲装置もありますので、セキュリティの質はひと昔前に比べると格段に上がっています。
中には、「運転手さんは、どうしてタクシーに乗ろうと思ったの?」と興味本位に聞かれたことはありましたが、「車の運転が好きだからですよ」と答えると「ふーん、なるほどね」で終わることがほとんどでしたね。
意外だったことといえば、感謝されることが多かったことです。
移動が困難な、身体が不自由な方や、高齢者の方達です。
彼らは、バスや地下鉄などのバス停や駅まで移動ができないのです。
タクシーはドアtoドアの乗り物なので、通院や買い物にタクシーはなくてはならない移動手段です。
買い物の荷物を部屋まで運んであげたりのサービスをすると、涙を流して喜ばれたこともあります。
常連のおばあちゃんとか、お小遣い(チップ)をくれることも多く、お年寄りにやさしくなれる職業でもあります。
そうそう、チップといえば、タクシーは日本の職業の中で唯一と言っていいほどチップがいただける職業です。
筆者が頂いたチップの最高額は1万円です。力士さんからポケットに「俺のこと応援してくれよな!」と言いつつ1万円札をいれてくれました。
そんな時は、タクシードライバーになってよかったぁ、なんて勝手なことを思ったものです。
営業にでると一人の世界、余計な対人関係でストレスフリー
入社して、2種免許を取得し、タクシーで仕事をするための研修が終われば、はれてタクシードライバーとして営業に出ることになります。
自分がのる車を準備して、車庫を出発すれば、営業終了時間までは一人きりなのがタクシードライバーです。
当然、稼がないといけませんし、最低限のノルマはありますが、どこをどのように走っても自由。
休憩時間も自分で自由に決められる。食事も自分が食べたい場所で食べたいものが食べられる、素晴らしく自由です。
働いているタクシー会社によって勤務形態はさまざまですが、タクシーで走っている間は、上司や部下、仲間との人間関係に悩まされることは、ほぼありません。
ただ、タクシーには防犯上GPSで位置情報がバッチリわかってしまうので、いかがわしい場所で休憩しているとすぐにバレますけどね(笑
実際にバレたやつがいるので注意です。
長い労働時間はどうなの?
タクシードライバーの労働時間は確かに長いです。
会社によってさまざまではありますが、筆者の働いている会社のメインの勤務形態は
- 1日の拘束時間14時間(休憩の3時間含む)
- 2日働いて1日休みの月20日勤務(月20日以上は働けない)
- 有給あり
1日の拘束時間が14時間、と聞いて「なが!!!」と思いますよね。
ところが、実際に働いてみると意外と短い。というか足りないって感じることの方が多いです。
ほんとうは、もっと走って稼ぎたいのに!と思って営業しているドライバーさんがとても多い。
タクシードライバーの収入は、会社によっても違いますが、ざっくりと稼いだ運賃合計の約半分くらいです。
筆者の会社のメインの勤務形態で計算すると、1日4万円平均、月20日勤務で合計80万円とすると、約40万円が支給額になります。
その日の営業が順調で、さくっと4万円以上稼げる日もあれば、なかなか稼げない日もあります。
そうすると、どうしてもできるだけ長く営業して稼いでおきたいと思ってしまうんですよね。
ですが、ドライバーが働ける時間は規則で決められていて、1日の労働時間、1ヶ月の労働時間に制約があり、それを超えることはできません。
一日に大体、200㎞くらい営業走行をするので、自分が感じているより、疲れがたまっています。
疲れがたまると、気が付かないうちに居眠り運転をしてしまったり、注意不足による事故を誘発したりするので、決められた労働時間は遵守しないといけません。
自分の安全はもとより、お客様の安全が何よりも大事ですからね。
でもこればかりは、実際にやってみないとわからないことです。
あと、勤務時間に関しては、隔日勤務という、1日働いて1日休み(1日の勤務時間は21時間以内)という形態もありますし、10~12時間の勤務形態もあったりします。
まとめ
タクシードライバーをやってみたいけど、なんとなく躊躇してしまっている方へ。
ライドシェアや、CMで世間的にも注目の職業で、もはや就職するのに悩む必要などありません。
高齢化や、インバウンド需要でタクシーの需要はますます高まっていて稼ぎやすい職業だと思います。
将来的に自動運転のタクシーでドライバーが必要なくなるのではないかという意見もありますが、乗り降りに手伝いが必要なお客様がいたり、運行経路の咄嗟な変更等に対応できるようになるのは、まだまだ先の話かなと思っています。
現在、タクシードライバーに必要な2種免許を持っていなくてもタクシー会社に就職すれば、条件付きですが無償で取得できますし、2種免許を持っていればどこのタクシー会社でも働けます。
配車アプリが普及している現在は、経験の必要な、ながしでお客様を見つけられなくても、仕事がばんばん入ってきますので、経験がなくてもベテランドライバーより稼ぐことも可能です。
収入の上限はどうしてもありますが、年齢・経験関係なく稼ぐことができるのはメリットだと思います。
そして、誰でもなれるお仕事というのは間違いではなく、健康で普通免許を取得している方ならタクシードライバーになれますし、常に人手不足な業界でもあります。
職業の選択肢としては、じゅうぶんに魅力的ではないでしょうか。